建築大好きオジサンの覚書

55才からの迷わないマンションリフォーム

君たちは知っているか、音響カプラに受話器をぎゅうぎゅう押し付けてネットに接続させた日々を

 今週のお題「わたしのインターネット歴」

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ボクが新入社員の頃、音響カプラって呼ばれる謎の装置に電話の受話器をぐいぐい押し込んでネットにつないでいたんです 

 いやはや、最近若い社員と雑談していると、ボクの「歴史の生き証人感」がすごいです。この前もサッチャー首相のことを

「サッチャーさんがさぁ」

と、知り合いのオバサマのように語っていたら

「あ。その人、教科書で見たことあります」

ってさらっと言われました。サッチャーさんが首相だったのは1979年から1990年の間です。彼らはサッチャーさんが首相の時まだ生まれていなかったんですよね、やれやれ

ってことで、インターネット生き証人みたいになってしまいそうな「今週のお題」です。

今やネット接続なんて生まれた時から当たり前だった世代が会社に入ってきています。しろくまダンナが新人の頃は、ネットに接続することそのものが大仕事だったんですけどね

アナログモデムが世に出る前、音でデータを送る機械が「音響カプラ」

そう、1980年代に新入社員だったボクは、その頃ようやく普及しはじめたインターネットと格闘する日々でした

「しろくま君!ネットに接続してデータ送って」

って上の人から言われると、

「はい!」

と、あわててコンピュータ室まで飛んでいって、黒電話のダイヤルを回します。そうして、ピーひゃらひゃらって音が聞こえると、即座にその受話器をぐいぐいと「音響カプラ」と呼ばれるコップみたいなモノが2つ付いている機械に押し当てます。そうして、二つが合体すると、ようやくインターネットに接続されてたんです。

え?皆さま、何を言っているか分からないって??そ、そーでしょう、そうでしょう。要するに、この「音響カプラ」なる摩訶不思議な装置が、デジタル信号をアナログ信号、すなわち電話の音声信号に変換していたんです。これが初期のインターネットっていうシロモノなんです

たびたび途切れる回線に四苦八苦の新入社員時代

しかし、いったんネットに接続できたからと言って、油断は禁物です。なにしろ送れる容量が驚くほど少ないので、データはじっりじり送付されます。

「まだかなー」

とお昼に行く時間が来ても、じーっとコンピュータの画面を凝視して監視していないと、安心できません。

ふとしたはずみにインターネットの接続が切れてしまったり、ひどい時にはカプラが物理的にはずれてしまって、ころりーんと黒電話の受話器がころがって最初からやり直しなんてことがしばしばでした

大きなデータを使ってグラフを書く時は、高いお金を払って契約している外部の大型コンピュータにアクセス出来る夜まで新人は待っていて、

「はい!今なら送れます!」

という時にデータを先方に送ってそれからグラフをキュルキュル書く機械を立ち上げてしゅるしゅるって自動で描いていくのをチェックしている・・・という、ホントあれは何だったのでしょう、気が遠くなるデジタルもどきの世界でした

会社にはたくさんテレックスのお姉さま方がいて手紙を電信で送っていた

 って話をしろくま奥さまにしたら、次から次へといろいろ思い出しました。直近のことは忘れがちですが、ボクら中高年、昔のことは鮮明に思いだせます

「そうそう、会社に入った時は電子メールもなくて、テレックスのお姉さま方に頼んでお手紙送ってもらっていたわね」

そうでした、そうでした。しろくま奥さまがボクの奥さんでなかった頃、ボクとは違う会社に勤めていました。でも、状況はほぼ同じだったんです。

電子メールはまだ存在していなかったので、ボクの会社では自分で機械を使ってレターをテレックス通信していました。

一方、しろくまお嬢様の会社にはテレックス専門の方々がいらっしゃって、英語原稿を渡すとタイプをしてテレックス専門の用紙を作って、それをテレックス専用の端末に通して電信してくださったそうです。

「テレックスの方が原稿をタイプで打つと、テレックスの紙が自動で出来るの。くるくる白い細い紙にパンチがあいているのよね。それを機械にしゅーっと通して送ると、お手紙送れるの」

なんでしょ、この原始的な感じ。そうなんです、ヨーロッパとかにあるような、昔のオルゴールの機械に通す楽曲の紙みたいのに、ぽつぽつと穴があいたモノをタイピストの方々が作ってくださるのです。それが今の電子メールの代わりです。

で、あいにくと上司が

「文言を変更」

とか言い出すと、テレックスの方が

「どこかしら」

ってしゅるしゅるの白い紙をたぐりよせて、打ち直したぽつぽつのついた紙をはさみで切って貼り付け直すという・・・なんという時代だったのでしょう。

そういう訳で名刺には電子メールの記載はなくて、当時はテレックスのナンバーが書いてあったんです

まとめに代えて:ネット黎明期、ボクらはFaxを恨んでラッダイト運動を起こしそうだった

思えば、インターネットにつなぐことそのものがもうチャレンジングだったので、ウイルスだの乗っ取りだのなんてものはなくて平和でした。回線が遅すぎて乗っ取りたくてもできませんよね、あの時代。

でも、別の大変さはありました。インターネットや電子メールがポンコツだったので、海外とのやりとり業務の主流はファックスでした。

出社すると、ぐるんぐるん、とぐろのようになったファクシミリ用紙がオフィスの床に転がっていて、毎朝、それを回収するのがひと苦労。

一枚いちまい、ファクシミリ用紙をキレイに切って、担当者に渡して、英語の文面を読んで対応して、それで結果をファックスかテレックスで送って、また朝になると、ファックス用紙がぐるんぐるん

先輩が用紙を床から拾いながら

「もう、ホント、時代が時代ならラッダイト運動起こすかも」

って言ってましたっけ。産業革命で仕事がなくなりそうってことで機械を壊したのがラッダイト運動ですが、ボクらは機械の奴隷になりさがっていてファクシミリを壊したかったんですよね

あれから30年あまり、音響カプラは消え、テレックスはなくなり、ファックスはもはや廃れて、ネットに音声でつなぐ、こんな時代がくるとは。

次の30年がどうなるのか、中高年のボクはとても見届けられそうにありませんが、いったい全体どうなるのかな、この先。ウエアラブルになるくらいしか凡人のボクには想像がつきません